民法の改正―兄弟姉妹の遺留分を削除へ

(写真出典=Magnific)

立法院は2026年7月28日、民法相続編の改正案を可決しました。今回の改正における重要なポイントの一つが、「兄弟姉妹の遺留分」に関する規定の削除です。

■ 法改正の背景

かつて台湾では、家族が共に暮らし、商売や農業を営むことが多く、遺留分制度は家族の最低限の相続権を保障する役割を果たしてきました。

しかし、現代では核家族化が進み、成人後はそれぞれ独立して生活することが一般的となり、兄弟姉妹が互いに扶養し合う機会も減少しています。その一方、被相続人が長年自分を支えてくれた配偶者や介護者などに財産を残す遺言を作成していても、死後、交流のなかった兄弟姉妹から遺留分を請求されるケースが問題となっていました。

こうした社会の変化を背景に、遺言の自由をより尊重すべきとの議論が高まり、今回の改正に至りました。

■ 「遺留分」とは?

「法定相続分」とは、遺言がない場合に法律に基づいて遺産を分ける割合です。一方、「遺留分」は、遺言があっても一定の相続人に最低限保障される遺産の割合をいいます。
旧民法第1223条では、直系血親卑属、父母、配偶者については法定相続分の2分の1、兄弟姉妹と祖父母については3分の1が遺留分とされていました。今回の改正では、このうち兄弟姉妹の遺留分のみが削除され、配偶者、子、父母、祖父母の遺留分は従来どおり維持されます。

■ 兄弟姉妹は相続できなくなる?

今回の改正によって、兄弟姉妹が相続人でなくなるわけではありません。遺言がない場合には、従来どおり法定相続順位に従って相続することができます。台湾では、子が第1順位、父母が第2順位、兄弟姉妹が第3順位、祖父母が第4順位です。

変わるのは、遺言がある場合です。たとえば、「財産をすべて配偶者に残す」「遺産をすべて公益団体に寄付する」との遺言がある場合、兄弟姉妹は遺留分を主張して遺産を請求することができなくなります。

■ 法改正による影響

特に影響を受けるのは、兄弟姉妹がいる独身者や、子どものいない夫婦(DINKs)で、すでに父母が亡くなっているケースです。

新法施行後は、こうした人々も遺言を作成することで、兄弟姉妹に財産を相続させず、自ら希望する相手に財産を残すことが可能になります。今回の改正は、台湾の相続制度を現代の家族関係に合わせる大きな改革であり、今後は遺言書の重要性がさらに高まると考えられます。

アバター画像
劉 盈良(リュウ エイリョウ)

協恆国際法律事務所、台北大学法学修士、神戸大学法学研究科交換留学

返信を残す